AGA(エージーエー)とは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」という意味です。

簡単に説明しますと、成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことを言います。

思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。

AGA(エージーエー)を発症した場合は、何らかの治療を施さない限り、薄毛の進行を食い止めることはできないとされているため、早い段階で医師の診察を受けることが推奨されています。

一般的に遺伝や男性ホルモンの影響などが、主な原因として考えられる、進行性の疾患です。

20~69歳成人男性4200万人の約3人に1人はこのAGA(エージーエー)で悩まされています。

 

AGA,男性型脱毛症

AGA(男性型脱毛症)の原因

AGA(男性型脱毛症)の原因として、まずDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの一種である物質が脱毛部に高濃度にみられることから、この物質がヘアサイクルの成長期を短くする原因物質として考えられています。

DHT(ジヒドロテストステロン)は5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素によってテストステロン(男性ホルモン)から変化し生成されます。

このDHT(ジヒドロテストステロン)は毛乳頭細胞の細胞質内のアンドロゲンレセプター(AR)と結合することによって、髭などの体毛に対しては成長因子を刺激して毛を太く成長させる作用を持ちますが、前頭部や頭頂部などの毛髪に対しては、毛母細胞の分裂を抑制し、ヘアサイクルにおける成長期を短縮させてしまう働きを持っているのです。

通常のヘアサイクルは、約1000日から2000日かけて1周しますが、AGA(男性型脱毛症)の発症によってヘアサイクルが乱れると、ヘアサイクルの成長期が最短で100日程度へと極端に短縮されてしまいます。

これはDHT(ジヒドロテストステロン)の生成に関わるリダクターゼ(5α還元酵素)において、体毛では“毛の成長を促すシグナル”が関与するのに対し、頭部では“毛の成長期を阻害するシグナル”が関与するためであると考えられています。

ヘアサイクルの成長期が短縮された髪の毛は、十分に育たないままに退行期を迎えることとなります。

ヘアサイクルが乱れ、長く太い髪の毛へと成長できずに、細く短い髪の毛ばかりが増えていくことを軟毛化現象といいます。

この軟毛化現象がAGA(男性型脱毛症)の進行を示しており、薄毛へと繋がっていくのです。

 

DHT
引用:https://www.aga-clinic.com/

AGAの原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)

AGA(進行性男性型脱毛症)の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)とは、どのように発生して体に働くのでしょうか。

そのメカニズムについて詳しく説明します。

DHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモンの一種で薄毛に悪影響を与えます。

DHT(ジヒドロテストステロン)について説明するには、まずテストステロン(男性ホルモン)の話から始めなくてはいけません。

テストステロン(男性ホルモン)も、DHT(ジヒドロテストステロン)と同じく男性ホルモンの一種です。

男性はもちろん、女性にも少量は分泌されており、誰もが持っているホルモンです。


引用:http://cocoro-hihuka.com/

 

このテストステロン(男性ホルモン)に5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素が結びついた時に生成されるのがDHT(ジヒドロテストステロン)です。

DHT(ジヒドロテストステロン)には毛髪の元となる細胞(毛母細胞)の働きを低下させる作用があることから、薄毛と関係の深いホルモンと言われています。

要するに、DHT(ジヒドロテストステロン)はテストステロン(男性ホルモン)が姿を変えたものであり、毛髪に対して悪影響を及ぼすのは、あくまでもDHT(ジヒドロテストステロン)に変わってからなので、テストステロン(男性ホルモン)が5αリダクターゼ(5α還元酵素)によってDHT(ジヒドロテストステロン)へと変化してしまうこと自体を防げば、薄毛の進行を抑えることにもつながるのです。

AGA治療薬
引用:http://prss-mitakadai-hills.com/

テストステロン(男性ホルモン)は、年齢とともに減ってゆくものではありますが、近年、加齢以外の理由でテストステロンの減少が見られる男性が増えています。

この現象は、薄毛状態の人にとってマイナスである場合があります。

テストステロン(男性ホルモン)は筋肉の増大・闘争本能促進・体毛増加など、心身の男性的な部分に作用するホルモンです。

その減少は、第一に男性としての身体的特徴や体力・精力・精神力の衰えを招きます。

そして第二にはDHT(ジヒドロテストステロン)の生産量増加をも引き起こしてしまう恐れがあるのです。

これは、体内でテストステロン(男性ホルモン)が不足した場合、それを補おうとして5αリダクターゼ(5α還元酵素)との結合がさらに進んでしまうという傾向があるためです。

テストステロン(男性ホルモン)は体だけでなく毛髪や体毛を丈夫にする作用やたんぱく質の同化作用も持っており、健やかな髪のためにも適度に増加させることが必要であると言えます。

テストステロンと年齢
引用:https://www.yamano-life.jp/

 

テストステロンの減少によって起こる症状

AGA(進行性男性型脱毛症)の原因となる、テストステロン(男性ホルモン)の減少によって、どのような症状が起こりうるかを説明します。

テストステロン(男性ホルモン)は、体のさまざまな臓器に影響を及ぼすとされているため、症状はここに挙げた以外にも多岐にわたり、テストステロン(男性ホルモン)が減少した際に引き起こされる症状は男性の更年期症状ともいわれ、過剰に減少する場合は、加齢性腺機能低下症(LOH症候群)が疑われます。

更年期症状と言えば、女性特有のものと思われている方が多いですが、ホルモンバランスの低下や乱れによって、男性にも更年期症状は起こります。

男性ホルモンの分泌量は、20代中頃をピークに30代前半頃から減少します。

ですので、更年期(40代後半~50代前半)、熟年期(50代中頃~60代前半)、老年期(60代中頃以降)と呼ばれる年代がLOH症候群になりやすい年代です。

加齢とホルモンバランス
引用:http://www.j-endo.jp/

女性とは違い、起こりうる時期や速さには個人差があり、症状が落ち着くこともあまり見られません。

しかし、ホルモンの減少は、ストレスや睡眠不足などの影響を大きく受けるため、生活習慣の改善が症状回復につながります。

特に、副交感神経が優位になる良質な睡眠は症状の改善と予防に繋がります。

その他の生活習慣としては、お酒や油ものの多い食事を控えめにすることや、筋肉に負担をかけることでテストステロン(男性ホルモン)の量が増加することも証明されていますので、適度な筋肉トレーニングも大切です。

ただし、筋肉トレーニングのセット数や回数、頻度があまりにも高かったり、多すぎると逆効果になってしまいます。

いわゆる、オーバートレーニングになると、ストレスホルモンであるコルチゾールが増加してしまい、テストステロン(男性ホルモン)が減少します。

特に、筋肉トレーニングが好きな人は、つい夢中になって、セット数を増やしすぎてしまう傾向にあるため、特に注意が必要です。

テストステロン低下で起こる症状
 

この他にもテストステロン(男性ホルモン)の低下により、不眠、肩こり、筋力低下、頻尿、筋肉痛などが起こることもあり、さらに女性の場合と同じく、ほてり、のぼせ、手足の冷え、多汗などの症状も挙げられています。

このような症状に心当たりがある場合には、一度専門医の診察を受けることをお薦め致します。

AGA(進行性男性型脱毛症)についてのまとめ

AGA(進行性男性型脱毛症)に悩まされている男性は、近年増加傾向にあります。

まずは、AGA(進行性男性型脱毛症)の原因を知り、進行を抑えたり、予防ができるようになれば、男性にも希望が見えてくることと思います。

原因となるホルモンの増加を防ぐためにも、日々の食事や睡眠、運動はとても重要なこととなりますので、生活習慣病の予防もかねて、この機会に今の自分のライフスタイルを今一度見直してみても良いですね。

この記事を書いた人

Dr.X
AGA(進行性男性型脱毛症)について,なるべくわかりやすく解説します.